植物ストーリー診断の、もう少し先へ。
ラベンダーを、
植物の暮らしから知る。
いつもの精油も、「どんな植物がつくった香りだろう?」と考えると、少し違って見えてきます。ラベンダーを入口に、植物と成分のつながりを見ていきましょう。
私が植物の生き方と成分のつながりを知ったとき、成分の名前を丸暗記するのとは違う、納得する感覚がありました。
その場所で生きていく植物の姿が見えてきて、「同じ地球に生きる仲間なんだ」と感じたんです。講座でも、この視点を大切にしています。
AromaTime 川口三枝子

ボトルの名前の先に、植物がいる
「ラベンダー」と書かれた精油にも、ラベンダー・アングスティフォリア、ラベンダー・スピカ、ラヴァンジンなどがあります。香りの印象が違うときは、まずラベルの学名を見てみてください。

| 呼び名 | 学名 | 見ておきたいこと |
|---|---|---|
| ラベンダー・アングスティフォリア | Lavandula angustifolia | 小ぶりで花穂は短め。花茎は枝分かれせず、一本ずつ伸びる。 |
| ラベンダー・スピカ | Lavandula latifolia | 大型で花穂も長め。花茎が燭台のように三本に分かれる。 |
| ラヴァンジン | Lavandula × intermedia | 上の2種の交雑に由来。大型で、花茎が燭台のように分かれる。グロッソやスーパーなどの品種がある。 |
名前だけでなく、株の大きさや花茎の分かれ方にも目を向けてみてください。アングスティフォリアの小ぶりな姿と、スピカ・ラヴァンジンの大型で燭台のように枝分かれする姿を、図でも描き分けています。
呼び名と植物の比較は、AromaTimeブログのラベンダー比較記事もご覧いただけます。図は形の特徴を示す模式図で、縮尺は一定ではありません。
たとえばラヴァンジンの「スーパー」を調べた研究では、両親種に由来するゲノムが確認されています。「似ている香りがあるのはなぜだろう?」という疑問も、植物の成り立ちとつながってきます。[2]
まずは、好きな精油の学名をひとつ読む。
覚えている成分名に、その成分をつくった植物の姿を重ねてみましょう。
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育つ場所も、植物を知る手がかり
成分表を見るときに、産地や育つ場所にも目を向ける。これが、私がお伝えしたい学び方のひとつです。植物にとって、日差しや気温、土壌は毎日の暮らしそのものです。
ラベンダー・アングスティフォリアを扱った研究では、イタリアの9つの集団を同じ条件で栽培し、香りや精油成分の違いが調べられました。この研究では、成分の違いは主に緯度に沿って見られ、標高による影響は小さいという結果でした。[1]
ですから「高い山で育ったから、この成分になる」とひとつの条件だけで考えるよりも、どの植物なのか、どんな由来があるのかを一緒に見ていくと、理解が深まります。
学名・産地・成分表を、並べて眺める。
成分の違いに出会ったら、すぐに答えを決めず、植物の背景をたどってみてください。
「植物にとっては?」と考えてみる
私たちは、香りを嗅いで心地よいと感じたり、暮らしの中で楽しんだりします。では、その香りをつくる植物にとっては、どうでしょう。
植物がつくる二次代謝産物には、花粉を運ぶ生きものとの関わりや、外敵・環境のストレスへの防御などに関わるものがあります。すべての香り成分が同じ役割を持つわけではありませんが、「植物は何のためにつくっているのだろう」と考える入口になります。[1]
花を訪れるハチを見るときも、成分表の数字を読むときも、その向こうにある植物の暮らしを思い浮かべる。そんなふうに学ぶと、精油が少し身近に感じられるのではないでしょうか。
人への働きは、根拠と一緒に
植物の生き方を知ることと、人への働きを確かめること。私の講座では、どちらも大切にしています。
植物の中で役立つ成分が、人にも同じように働くとは限りません。人への作用を読むときには、誰を対象に、どの製品を、どの方法で使った研究なのかを確かめます。
講座の参考文献を、ひとつ例に
「ラベンダー3」の参考文献には、Kasperらの2010年の研究が載っています。調べられたのは、Silexanというラベンダー油製剤を経口で使用する方法です。香りを嗅ぐ芳香浴の試験ではありません。[3]
同じ「ラベンダーの研究」でも、使用方法が違います。その結果を、そのまま手元の精油の芳香浴に当てはめることはできません。市販の精油を飲むことを勧める説明でもありません。
難しい専門用語を全部読めなくても、まず「何を、どう使った研究?」という問いを持つ。それだけでも、根拠との付き合い方が変わってきます。
次に精油を手にするときに
学名を読む。育つ場所を思い浮かべる。気になる働きの根拠をたどる。今のあなたが面白いと感じた入口を、ひとつ試してみてください。
動画講座では、このように植物の物語と成分をつなぎ、人への働きも研究と照らし合わせながら学んでいきます。
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参考文献
- Latitude and Altitude Influence Secondary Metabolite Production in Peripheral Alpine Populations of the Mediterranean Species Lavandula angustifolia Mill(2018年)
- Decoupling subgenomes within hybrid lavandin provide new insights into speciation and monoterpenoid diversification of Lavandula(2023年)
- Silexan, an orally administered Lavandula oil preparation, is effective in the treatment of 'subsyndromal' anxiety disorder: a randomized, double-blind, placebo controlled trial(2010年)