強いお薬を使っても消えない「寂しさ」に、アロマはどう届くのか。〜父の足をさすって教わった、言葉を超えた「手当て」の記憶〜
こんにちは!難解なアロマの化学成分を「物語」に翻訳して伝える、ナードアロマテラピー協会認定アロマトレーナー&アロマセラピストトレーナーのAromaTime川口三枝子です。
今日は、少し個人的な、でも私のアロマセラピストとしての「原点」とも言えるお話をさせてください。

みなさんは、病院のにおいって、平気ですか?
私は正直に言うと、ちょっと苦手なんです(苦笑)^^,
あの独特の消毒液の鋭いにおいを嗅ぐだけで、身体がキュッと強張って、なんだか気分が悪くなってしまうんですよね。
病院の「におい」と、私の無力感
かつて、父が緩和ケア病棟に入院していた時のことです。
私も毎日病室に通っていたのですが、病院に着くだけで緊張してしまって、呼吸が浅くなっているのが自分でもわかりました。
父は、痛み止めの薬のおかげで、身体の痛み自体はコントロールできていたようでした。
でも、個室のベッドに横たわる父の姿を見ていると、薬では取り除けない「何か」が部屋全体に漂っているような気がしてなりませんでした。
言葉にできない孤独感、死への不安、あるいは私たちが抱える「何もしてあげられない」という無力感だったのかもしれません。
父の個室が「優しい空間」に変わった瞬間
そんな時、私は父の「足」をトリートメントすることにしたんです。
背中だと体位を変えるのが大変ですが、足なら布団を少しめくるだけで触れられますからね^^
私が選んだのは、ラベンダーやマンダリンなど、リラックスを誘う優しい香りの精油たち。
ブレンドオイルを手に取り、そっと父の足に触れてマッサージを始めました。
すると、不思議なことが起きたんです。
個室にふわっと精油の香りが広がった瞬間、一番最初に「ホッ」としたのは、実は私自身でした。
あの苦手な消毒のにおいが、柔らかい植物の香りに塗り替えられていく。
張り詰めていた私の肩の力が抜けて、自然と深い呼吸ができるようになったんです。
父は、特に「気持ちいい」とか言葉にするわけではありませんでした。
でも、私が足をさすっていると、父の呼吸のリズムが変わっていくんです。
最初は少し早かった呼吸が、だんだんとゆっくり、深く、大きくなっていく。
そして、いつの間にかスー、スーと穏やかな寝息を立てて眠りについていました。
後になって母から聞いたのですが、「三枝子にマッサージしてもらうと、その夜は本当によく眠れるんだよ」と、父はとても嬉しそうに話していたそうです。
なぜ「足」へのアロマが心に届くのか?
これ、実は魔法でもなんでもなくて、ちゃんと理由があるんですよ!
皮膚は「露出した脳」(皮脳同根)
専門用語で「皮脳同根(ひのうどうこん)」と言うんですが、聞いたことありますか?
私たちの皮膚って、実は「露出した脳」とも呼ばれているんです。
皮膚と脳は、お母さんのお腹の中で受精卵から育つとき、同じ「外胚葉」という場所から生まれます。言ってみれば、皮膚と脳は「ふたご」のような関係なんですね。
だから、肌に優しく触れるという刺激は、ダイレクトに脳に伝わるんです。
ナードのアドバイザーコースでも、この「触れることの意味」はとても大切にお伝えしているんですよ^^
ラベンダーの成分は「一番、脳を鎮静させる」
さらに、ここでアロマの「成分」が良い仕事をしてくれます。
例えば、ラベンダーに含まれる「エステル類」という成分グループ。
私はこれを、生徒さんたちによく「一番、脳が鎮静するグループ」と例えて説明しています^^
この成分には、興奮した神経を鎮めて、リラックスモードのスイッチを強制的に(でも優しく!)オンにする働きがあるんです。
鼻から吸い込まれた香りの分子は、大脳辺縁系という、感情や本能をつかさどる古い脳へ、わずか0.2秒以下で届くと言われています。
理屈で「落ち着こう」と思っても難しいけれど、香りは理屈抜きで脳をリラックスさせてくれるんですね。
予期せぬ効果:看護師さんの笑顔が父を救った
そしてもう一つ、私が大切だなぁと感じたことがあります。
それは「場」の空気が変わること。
ある日、アロマの香りが漂う病室に、担当の看護師Kさんが入ってこられました。Kさんは部屋に入るなり、「わぁ、すっごくいい香り!癒やされる〜!」と、パッと明るい笑顔を見せてくれたんです。
その反応を見て、父がすごく嬉しそうな顔をしたのを覚えています。
父は昔から、自分が何かをしてもらうことよりも、他人が喜んでくれることが好きな人でしたから。
看護師さんが笑顔になると、その場の空気が一瞬で緩みますよね。
アロマは、患者さん本人の痛みだけでなく、家族や医療スタッフの緊張も解いて、病室全体を「優しい空間」に変える力があるんだと、父とKさんが教えてくれました。
生徒さんの熱意に「根負け」した、緩和ケア活動の再開
私が今、緩和ケア病棟でのアロマ活動を5年ぶりに再開したのも、実はこの時の記憶と、ある生徒さんの言葉があったからなんです。
その生徒さんは、貴子さんといいます。
彼女もまた、お母様を見送った経験を持っていました。
ちょうど私のアドバイザーコースを受講中だったのですが、その後「先生、私も緩和ケアでアロマをやりたいんです!」と熱心に訴えてこられたんです。
実は私、最初は少し腰が重かったんです(苦笑)
緩和ケアでの活動って、一度始めたら「忙しいから休みます」なんて簡単には言えません。
患者さんは待ってくれているし、現場のスタッフとの信頼関係も積み上げていかなきゃいけない。
「やるからには、ずっと継続していく覚悟がないと失礼になる」
そう思っていたからこそ、生半可な気持ちでは踏み出せなかったんです。
でも、彼女の真っ直ぐな熱意と、私自身の経験が重なって、ついに根負けしました(;^ω^)
始めてみて、本当によかったと思っています。
一人では抱えきれない感情も、チームでなら支え合えるし、何より「手当て」を待っている方がたくさんいらっしゃるんですよね。
ちなみに、私をこの道に引き戻してくれた貴子さん。
彼女の熱意はその後もさらに大きくなり、なんと今度の発表会ではトップバッターとして登壇して話すことになったんです!
あの時「やりたい!」と手を挙げてくれた彼女が、今では堂々と自分の言葉で想いを語る存在になっている。
講師として、これほど誇らしいことはありません^^
先日も、この病棟の立ち上げに関わった看護師の青木典子さん(卒業生でもあります^^)をお招きして、ボランティアメンバーで勉強会を開きました。
そこで話題になった「Cure(治療)とCare(癒やし)の違い」のお話が、まさに私が父の病室で感じていたことそのものでした。
<strong>▼「言葉は要らない」看護師・青木さんに学ぶCureとCare</strong>
<a href=”https://aromatime.jp/aboutaromatime/bora12589″>【活動レポート】言葉を超えて届くもの。緩和ケア病棟ボランティア勉強会</a>
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<strong>▼5年ぶりの再開!活動への想いはこちら</strong>
優しさだけでは守れないものがある
ただ、最後に一つだけ、厳しいことを言わせてください。
「優しさ」だけでは、大切な人を守れないこともあります。
病気の方や高齢の方の身体は、とてもデリケートです。
良かれと思って使った精油が、薬の邪魔をしてしまったり、肌を刺激してしまったりすることだってあるんです。
私が父に安心して触れられたのは、私が「どの精油なら安全か」「この成分はどう作用するか」という化学の知識を持っていたからです。
「なんとなく良さそう」ではなく、「なぜ良いのか」「何がダメなのか」を知っていること。
それが、あなたの大切な人を守る「自信」に変わります。
もし、あなたが「家族のために何かしてあげたい」「現場でアロマを活かしたい」と思っているなら、ぜひ一度、私のスクールに遊びに来てください^^
難しい化学記号は使いません。
植物たちの物語を通して、一生使える「本物の知識」をお渡しします。
あなたのその温かい手が、誰かの「魂の痛み」を癒やす手になりますように。
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