メディカルアロマの資格取得 ナードアロマテラピー協会認定校 東京八王子

【再開報告】5年ぶりの緩和ケア病棟アロマ施術──香りがつなぐ“あの場所”

 
ボランティア
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アロマ歴23年、家族の体調不良の一助にと始めたアロマテラピー。植物とタッチングの力に魅了され、事務職から一転して都内アロマサロン勤務、イギリス系最大手協会認定スクールにてアロマ講師を経て、2005年4月AromaTimeオープン。3年後には、雑誌でAromaTimeを5ページ特集。セルフケアの指導に定評があり、フランス式アロマの代表であるナードアロマテラピー協会認定校として、2009年よりスタート。初心者からプロのアロマセラピスト育成までを、一人一人に合わせた個別指導に定評あり。
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こんにちは、アロマ講師の川口です。
5年ぶりに、緩和ケア病棟でのアロマハンドトリートメント・ボランティア活動を再開しました。

本記事では、5年ぶりに再開された緩和ケア病棟でのアロマ施術について、現場の様子や参加者の声をお届けします。

 再始動のきっかけ──生徒の想いが動かした5年ぶりの再開

この再開は、コロナ禍で一時中断していた活動を「また始めたい」と強く願う一人の生徒さんの声から生まれました。

 「家族を想う気持ちから始まったアロマ施術の再開」

彼女は、ご家族のケアを通して緩和ケアに関心を持ち、アロマができることを深く実感した方でした。
「自分があの時間をまた届けたい」──その言葉が、私の背中を押しました。

 

 「緩和ケア病棟でのアロマ施術──当日の流れと配慮」

再開に向けた準備と技術講習会

再開に向けて、まずは病院との調整から始まりました。感染症対策や施術内容の確認、受け入れ時間など、一つひとつ丁寧に準備を重ねてきました。

 

「15分のハンドトリートメント、静かな時間の設計」

再開初日、午前中は参加者向けの技術講習会、午後に病棟での施術という流れでした。

参加者の半数以上がアロマ施術の実践は初めて。

そこで私は講習会の冒頭に、次のように伝えました。

「手技の方法や順番は忘れても構いません。ただ、あなたの手の“ぬくもり”を届けること。それと精油の力があれば、十分に価値のあるケアになります。」

この言葉に少しホッとした様子を見せた方々が、午後にはそれぞれのペースで施術に臨みました。

 

指導者としてのまなざし──“できるか不安”から生まれた手応え

午前中の講習会で、ひとりの生徒さんが、私の説明を聞きながらこうつぶやきました。
「私にちゃんとできるんでしょうか……」

その言葉はとても小さな声でしたが、私の中にずしりと響きました。
教えるということは、技術以上に“心の準備”を支える責任を伴う──そう思いながら見守った午後。

カーテン越しに、彼女が初めて患者さんとのやりとりは、ぎこちなさはどこかに消え、ゆっくりと、柔らかく、確かなものでした。施術を終えた彼女が戻ってきたとき、静かに微笑んで言いました。

「あ、これでいいんですね。すごく優しく触れただけなんですけど、安心してもらえた気がしました」

自信とは、大きな成功ではなく、“伝わった”という手応えから生まれる。
その小さな笑顔に、技術以上に大切なものが確かに宿っていました。

セラピストレッスン

施術を終えて戻ってきたとき、皆さんが語っていたのは
「安心してもらえたと感じた」「表情が穏やかになったと感じた」「呼吸が深くなったと感じた」という、相手との間に生まれた“確かな反応”でした。

病棟での施術──15分のやさしさ

今回の施術は、1人あたり約15分のハンドトリートメント(患者さまには、分かりやすくハンドマッサージで統一して紹介しています)

初回ということもあり、足ではなく手への施術に限定し、対象者の体調や反応を優先する構成としました。

ボランティア

 今回人気だったのは“マンダリン+ラベンダー”

使った精油は、前回活動時にも使用していた5種類──マンダリン、ラベンダー、マジョラムなど──を中心に準備。
2種類のブレンドから、香りを選んでいただく形にしました。

最も人気が高かったのは、「マンダリン+ラベンダー」のブレンドでした。
優しく明るさを持ち、どの年代にもなじみやすい、穏やかな組み合わせです。

精油

 「緊張から笑顔へ──マッサージが近づけた距離感」

参加者の多くが「初めての施術」に緊張していたものの、終了後は皆が笑顔で戻ってきました。

ある参加者の感想です:

「実践する機会がなかったので不安でしたが、活動当日に技術講習会を受けられたことで、落ち着いて施術に臨めました。終えてみて、“これなら家族にもやってあげたい”と思えるようになりました

今回の活動が、学んだ知識を“日常の中で使える技術”に変えるきっかけになったと感じています。

「現場の声──患者さんとご家族の反応から」

患者さんやご家族の反応──香りが生む時間

施術を受けた患者さんたちの反応は、それぞれに異なりました。
ある方は終始お話を楽しんでくださり、ある方は目を閉じて静かに呼吸を深めていかれました。
言葉が出せない患者さんに代わって、香りを選んだご家族が「今日はちょうどアロマの日に当たってラッキーでしたね」と喜ばれていた場面も印象的でした。

また、こんなエピソードもありました。

「施術前、自宅に帰りたいとおっしゃっていた患者さんが、施術中から徐々に表情がやわらぎ、終わる頃には穏やかな顔になっていました。ご家族から“ありがとうございました”と感謝の言葉をいただけて、少しでもお役に立てたようで良かったです」

「言葉を交わせない方に施術をしたのですが、香りを感じた瞬間の目の動きや、その後の深く穏やかな呼吸が印象的でした。手のぬくもりと香りが何かを伝えていたのだと思います」

 

アロマが医療現場にできること

アロマは“治す”道具ではありません。
けれど、「香り」「触れる手」「共に過ごす時間」は、患者さんの心と身体の緊張を解きほぐす一助となります。

そしてそれは、施術を行う私たち自身にも気づきを与えてくれます。

今回の活動を通じて改めて感じたのは、
“誰かのために”と行う行為が、結果として自分自身の感覚をひらくということ。
それが、アロマの持つ本質的な力のひとつではないかと考えています。

終わりに

──香りがつなぐ“あの場所”でまた5年ぶりに、あの病棟に香りが漂いました。
その空間で生まれた、静かで穏やかな時間。

それは、言葉にならない感情を“香り”と“手”が代弁するような瞬間の連続でした。

今後もAromaTimeでは、医療現場や地域社会の中で「アロマだからできること」を静かに丁寧に伝え続けていきます。

6/6アロマ臨床実践発表会のご案内

発表会のご案内

今回の活動の詳細は、6月6日に行われる発表会でも、生徒の視点から語られる予定です。
当日の発表では、前回のアロマボランティア参加した田中みどりさんが「感じたこと」や「アロマを届けた時間の中で生まれた気づき」について、自らの言葉でお話しされます。

ぜひ、彼女たちのリアルな声に耳を傾けていただければ幸いです。

アロマ臨床実践発表会
⏱6/6(金) 19:30〜21:30・無料
💻Zoom(リアル参加限定)・先着100名|残りわずか!
お申し込みは、今すぐこちらから!

 

発表会アンケート参加特典(ご協力のお願い)

6月6日の発表会にご参加いただき、
感想アンケートにご協力くださった方には、特典資料をご用意しています。

🎁 プレゼント内容:
「緩和ケア現場で使用した精油」解説資料(PDF)

当日使用した5種の精油について、選定理由・現場での反応を分かりやすく解説したものです。
ご自身のケアや今後の活動にもお役立ていただける内容となっています。

ぜひ、発表会の学びとともにお持ち帰りください。
(※当日ご案内するQRコードからアンケート回答をお願いします)

 

アロマについてもっと深めたい方はこちらの講座へどうぞ!

【オンライン・全5回】
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アロマ歴23年、家族の体調不良の一助にと始めたアロマテラピー。植物とタッチングの力に魅了され、事務職から一転して都内アロマサロン勤務、イギリス系最大手協会認定スクールにてアロマ講師を経て、2005年4月AromaTimeオープン。3年後には、雑誌でAromaTimeを5ページ特集。セルフケアの指導に定評があり、フランス式アロマの代表であるナードアロマテラピー協会認定校として、2009年よりスタート。初心者からプロのアロマセラピスト育成までを、一人一人に合わせた個別指導に定評あり。
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