アロマとタッチで寄り添うケアのかたち ――緩和ケアに関わる私たちの勉強会レポート
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アロマ歴23年、家族の体調不良の一助にと始めたアロマテラピー。植物とタッチングの力に魅了され、事務職から一転して都内アロマサロン勤務、イギリス系最大手協会認定スクールにてアロマ講師を経て、2005年4月AromaTimeオープン。3年後には、雑誌でAromaTimeを5ページ特集。セルフケアの指導に定評があり、フランス式アロマの代表であるナードアロマテラピー協会認定校として、2009年よりスタート。初心者からプロのアロマセラピスト育成までを、一人一人に合わせた個別指導に定評あり。
2025年12月5日(金)、AromaTime卒業生の有志メンバーとともに継続している
緩和ケア病棟でのアロマボランティア活動に向けた、勉強会を開催しました。

今回は特別ゲストとして、私たちが通う八王子市内の緩和ケア病棟の立ち上げに関わり、
アロマの導入にも尽力された看護師・青木典子さんをゲスト講師としてお招きしました。
青木さんは、50歳で正護師資格を取得されたあと、
私のスクールでナード・アロマインストラクター資格も取られた方で、今は私たちのボランティア活動にもこのように助けていただいています。
青木さんのインスタはこちらから
勉強会の学びポイント
1. CureとCareの違い
医師や看護師などの医療チームは、病気に対するCure(治療)の専門家。
一方、私たちボランティアは、孤独や不安を和らげるCare(癒し)を担います。
「患者さんにとって、近所の人のような“普通の存在”でいられるのがボランティアの良さです」── 青木さんのことば

2. 「掃除のおばさん」がいちばん理解していた話
医療職でなくても、患者さんに心を開いてもらえる関わりがあります。
青木さんは「掃除のおばさんが、一番患者さんの変化に気づいていた」という現場の実話を通して、“そばにいるだけでいい”という関わりの尊さを教えてくださいました。
3. 香りとタッチは、言葉を超えて届く
会話ができない状況でも、香りと手のぬくもりは心に触れることができます。
アロマの香りは0.2秒で脳の感情中枢に届くと言われ、
タッチングは「あなたの存在を大切に思っています」というメッセージを無言で伝えます。
「言葉で励ますよりも、手をさする。それだけで十分な会話になっているんです」── 青木さん

4. 死の受容プロセスを知ることで安心に変わる
キューブラー・ロスの死の受容プロセス(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)を知っておくと、現場での心の揺れを受け止めやすくなります。
たとえば、「また来ますね」と言ったときに「生きてたらね」と返されてなんて言えばよいか困った、、、
という質問もありました。

5. 一人じゃない。チームで支え合える喜び
終末期の方と向き合う中で、心が揺れることもあります。だからこそ、一緒に活動する仲間と支え合えることが、大きな安心になります。
企画メンバーが中心になって、活動が終わった後のお茶の時間も入れたりして、交流をとても大切にしています。
ひとりで背負わず、想いを共有しながら歩める仲間がいること、それが私たちの活動を支えてくれています。
参加メンバーの感想
「言葉は要らない。
ただ寄り添うだけでいいという言葉の意味がやっと理解できました。
何かをしてあげるのではなく、綺麗に咲く花や、そっと寄り添う犬や猫のように癒しの空間を共有できればいいんだと思ったら、
肩の荷が下りたような、胸の中の仕えが取れたような気持ちになりました。」
「『チーム医療の隙間を埋める潤滑油』というボランティアとしての存在意義と、
『優しいタッチングと香りは、理屈を飛び越えてダイレクトに本能に届き心を溶かす』ということが改めて心に響きました。」
「現場のリアルな経験に基づいた言葉一つ一つが、私の活動のお守りになりました。」
医療従事者に聞けたからこそ安心できた、学びの時間
優しさゆえに、相手を傷つけることになったらどうしようという不安を抱える声から、
医療従事者から、直接にお話をきこうと思って企画しました。
私たちは専門家ではありません。
けれど、「普通の人だからこそ届けられる癒し」があります。
現場をよく知る青木さんから直接学べたことは、私たちにとって大きなお守りのような時間でした。
最後に
現在のボランティア活動は、AromaTimeの講座を修了された方を対象に、
八王子市内の緩和ケア病棟で月2回手と足のアロマトリートメントを行っています。
これからも、学びと実践の記録を通して、
「アロマとタッチで、誰かのそばに寄り添いたい」
そんな方々の背中をそっと押せるような発信を続けていきます