更年期前後、夜勤明けに眠れない――看護師の睡眠とアロマ

月から朝へ移る時計とTINOを描いた『更年期前後の夜勤と眠り』の看護×アロマ記事アイキャッチ

この記事は「看護×アロマ」シリーズの1本です。

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看護×アロマとは?看護師が知っておきたい基礎知識と安全な学び方

看護師の生徒さんからいただく相談と、3つの研究から考えるセルフケア

私の講座には、看護師の生徒さんも多く来てくださいます。

最近よく伺うのが、

「眠りが浅くて、疲れが取れないんです」

「夜勤明けなのに、なかなか寝つけなくなりました」

というお話です。

特に、更年期前後の方から聞くことが増えたように感じています。

年齢を重ねても、夜勤は続きます。でも、体の感じ方や眠り方は、以前とまったく同じではありませんよね。

この記事では、夜勤を続ける看護師さんの眠りについて、看護師を対象にした研究と、更年期の睡眠を調べたアロマ研究を一緒に見ながら、アロマ専門家として私が考えていることを書いてみます。

夜勤と更年期が重なると、眠りは一つの原因では考えられません

夜勤明けに眠れないと、「何か眠れるものはないかな」と探したくなります。

でも、夜勤のあとの眠りは、夜に布団へ入るときの眠りとは条件が違います。

外は明るく、家族や街は動き始めています。一方で、自分の体は仕事の緊張を残したまま、休息へ切り替わらなければなりません。

さらに更年期前後には、ほてりや発汗、気分の揺れなど、眠りを邪魔するものが重なることもあります。

だから私は、睡眠のご相談を受けたときに「この精油を使えば大丈夫」と、一つのレシピだけをお伝えすることはありません。

50歳以上で夜勤を続ける看護師さんの声

2025年に発表された研究では、50〜65歳で夜勤を続けている看護師19人へ、夜勤と睡眠について詳しくインタビューしています。

そこでは、夜勤中は十分に休めた感じがしないこと、夜勤と日勤を切り替えると睡眠時間が一定にならないこと、日中に長く深く眠ることが難しいことなどが語られていました。

また、年齢を重ねたことによって、眠りの優先順位や夜勤への向き合い方が変わったという声もまとめられています。

講座で看護師の生徒さんから伺ってきたことと重なる部分が多く、「やはり、香りだけの問題ではないんですよね」と感じた研究です。

出典:Night Shift Work and Sleep Experiences in Older Night Shift Nurses(2025)

日本の看護師・助産師1,253人を調べた研究

日本の5つの病院に勤務する看護師・助産師1,253人を対象にした研究では、勤務形態と睡眠の質が調べられています。

睡眠の質が低いと評価された方の割合は、日勤で41.2%、三交代勤務では60.4%でした。三交代勤務では、寝つきにくさを感じている方も約40%いました。

もちろん、この数字だけで一人ひとりの眠りを決めることはできません。

ただ、「疲れているのに眠れないのは、私の休み方が下手だから」と、ご自分だけを責めなくてよいことは伝えたいと思います。勤務の時間と体内のリズムがずれること自体が、眠りに関係しているからです。

出典:The impact of rotating work schedules, chronotype, and restless legs syndrome/Willis-Ekbom disease on sleep quality among female hospital nurses and midwives: A cross-sectional survey(2019)

では、ラベンダーを使えば眠れるのでしょうか?

閉経後で不眠のある女性35人を対象に、ラベンダー精油の芳香吸入を29日間行った研究があります。

ラベンダーを使ったグループと、ヒマワリ油を使ったグループを比べたところ、主要な睡眠評価では、グループ間に明確な差は確認されませんでした。

一方で、どちらのグループも時間の経過とともに睡眠状態がよくなっていました。

この研究では、両方のグループが睡眠衛生について説明を受け、毎週フォローも受けています。研究者も、香りだけでなく、睡眠習慣の見直しと継続的なフォローが大切だったと考察しています。

私は、この結果がとても現実的だと思いました。

アロマを否定する結果ではありません。でも、「ラベンダーだけ使えば眠れる」と考えないための、大事な研究です。

出典:Lavender essential oil on postmenopausal women with insomnia: Double-blind randomized trial(2021)

TINOとともに更年期前後の夜勤と眠りについて3つの研究を比較した図

ラベンダーを、研究結果だけでなく、私が緩和ケアの現場へ持っていく理由については、「アロマのある日は、よく眠れました」――私が緩和ケアにラベンダーを持っていく理由で詳しく書いています。

TINO

TINO

眠る前に、ラベンダーを一つ使えばいいわけではないの?

AromaTime川口三枝子

AromaTime川口三枝子

一つの香りだけで考えないの。どの時間に、どんなふうに休息へ切り替えるかを一緒に見ていくんですよ^^

一つのレシピではなく、場面に分けて香りを使う

睡眠についてご相談を受けたとき、私はまず、活動から休息への切り替えを意識して、その方が心地よく感じる香りを考えます。

そして、枕元で一度香らせるだけではなく、生活の場面に分けます。

  • 帰宅後のバスタイムに、香りを取り入れる
  • シャンプーや入浴剤など、無理なく続けられる形を選ぶ
  • お風呂から出たあと、照明や過ごし方も少しずつ休息モードへ変える
  • 寝室では、強く香らせず、自分が心地よいと感じる量にする

更年期前後であれば、睡眠だけを切り離さず、その時期の体調の変化も考えます。

睡眠のご相談だからといって、眠る前に使う精油だけを考えるわけではありません。

自律神経系の視点からバジルを候補にすることもあれば、更年期前後のホルモンの変化を考えて、ローズマリー・ベルベノンを選択肢に入れることもあります。

ただ、精油名だけを見て「睡眠にはこれ」と選ぶものではないんですよね。なぜその精油を候補にするのか、どの場面で使うのか、安全に使えるか。そこには一つずつ理由があります。

この記事では精油のレシピや選択の答えまでは書きませんが、同じ「眠れない」というご相談でも、見る角度によって考える精油が変わることは知っていただきたいと思います。詳しい理由は、講座の中で成分や体のしくみと結びつけながらお伝えしています。

同じ人でも、夜勤明けと休日の夜では、合う香りや使い方が違うことがあるんですよね。

精油を選ぶ前に、眠りに合わない癖も一緒に見直します

香りを選びながら、睡眠を妨げている習慣も一緒に見直します。

例えば、スマートフォンを寝室へ持ち込んで、眠る直前まで見続けていないか。

夜勤明けに帰宅してから、強い光を浴び続けていないか。休みの日に生活時間を大きく変えすぎていないか。

全部を一度に変える必要はありません。

まずは、スマートフォンを寝室の外へ置いてみる。お風呂の時間に香りを取り入れて、「ここから休む時間」と体に知らせる。続けられることを一つずつ重ねていきます。

TINO

TINO

香りを選ぶより、スマートフォンをやめる方が先?

AromaTime川口三枝子

AromaTime川口三枝子

どちらか一つではないんです。香りも、光も、毎日の癖も、眠りにつながるものを少しずつ見直していきましょう。

アロマは、眠らせるためではなく、休息へ向かうきっかけに

看護師さんは、人の体調を観察することには慣れていても、ご自分の疲れは後回しになりやすいのかもしれません。

けれど、「眠りが浅くて疲れが取れない」「夜勤明けに寝つけなくなった」という変化は、我慢を続けるためのものではありません。

アロマは睡眠薬の代わりではありませんし、更年期の症状を治療するものでもありません。

それでも、バスタイム、寝る前、寝室という場面ごとに、ご自分が心地よいと感じる香りを取り入れることで、仕事から休息へ向かう小さなきっかけを作ることはできます。

香りだけに頼らない。でも、香りも上手に使う。

私は、そんなセルフケアを看護師の生徒さんと一緒に考えていきたいと思っています。

睡眠の悩みが続く場合や、日中の強い眠気、気分の落ち込み、強いほてりや発汗などがある場合は、セルフケアだけで抱え込まず、医療機関や職場の健康相談窓口へ相談してください。

この記事のまとめ

  • 更年期前後で夜勤を続ける看護師さんから、浅い眠りや夜勤明けの寝つきについて相談を受けることが増えています。
  • 看護師を対象にした研究でも、夜勤と日勤の切り替えや日中の睡眠の難しさが報告されています。
  • 更年期女性を対象にした研究では、ラベンダーだけでなく、睡眠習慣の指導や継続的なフォローも重要だった可能性があります。
  • 一つの精油レシピに決めず、バスタイム、寝る前、寝室など、場面に分けて考えます。
  • 香りと一緒に、スマートフォン、光、生活時間などの習慣も見直すことが大切です。

よくある質問

更年期前後の不眠は、アロマだけで改善できますか?

アロマだけで改善できるとは言えません。夜勤による生活リズム、ほてりや発汗、気分の変化、病気や薬など、複数の要因が考えられます。アロマは、休息へ切り替えるためのセルフケアの一つとして考えます。

夜勤明けには、どの精油が一番よいですか?

すべての方に共通する一つの精油はありません。香りの好み、その日の体調、使う時間や場面を確認して選びます。心地よく感じない香りを無理に使う必要はありません。

枕元だけで香らせればよいですか?

枕元だけでなく、帰宅後の入浴、照明、スマートフォンの使い方なども含めて考えます。香りを一度使うより、「休む時間へ切り替える流れ」を作ることを大切にします。

看護にアロマを取り入れたい方へ

患者さんのためだけでなく、ご自身のセルフケアにもアロマを使いたい看護師さんへ。

AromaTimeのNARD JAPAN認定アロマ・アドバイザー資格取得コースでは、精油の特徴と安全な使い方を基礎から体系的に学びます。

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<この記事を書いた人> 川口三枝子(AromaTime主宰)


NARD JAPAN認定アロマ・トレーナー/アロマセラピストトレーナー。アロマ歴28年。著書『すぐ使えるアロマの化学』はロングセラーとなり、台湾語版も発売。AromaTimeスクールチームとして、緩和ケア病棟でのアロマケアボランティアも継続しています。


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