気持ちが晴れない日、試したい3つのこと|身近な自然とポジティブ心理学の研究

気持ちが晴れない日、試したい3つのこと。緑と花に囲まれた黄色いジョウロのTINOの横長イラスト

こんにちは^^
AromaTime 川口三枝子です。

なんとなく気持ちが晴れない日、ありますよね。そんなとき、「もっと前向きにならなくちゃ」と頑張るだけではなく、身近な自然に少し目を向けてみるのはどうでしょう。

私はポジティブ心理学を学ぶ中で、「自然と幸福」の関係にとても興味を持ってきました。今回の「身近な自然の意外な力」シリーズでは、自然の小さな発見を楽しむ3つの方法を、原著の研究と一緒に紹介します。

前回の記事では、「疲れた日でもすぐできる!自然のチカラ3選」として、画面の自然映像・机上の植物・公園で過ごす時間を紹介しました。今回はそこから一歩進んで、自然にどう気づき、何を感じるかをテーマにします。

気持ちが晴れない日に、試したい3つのこと

  • 自然の「よかったこと」を3つ書く
  • 気になった自然を写真に撮り、感じたことを残す
  • 秋の落ち葉から「手放すこと」の意味を考えてみる
TINO
TINO

特別な森に行かなくても、できるの?

AromaTime川口三枝子
AromaTime
川口三枝子

もちろん^^ 花や空、道ばたの木など、いつもの景色にも見つけられます。3つは「別々に効果が実証された処方」ではなく、研究にヒントを得た実践と見方です。

① 自然の「よかったこと」を3つ書く

たとえば、道ばたの花がきれいだった。空の色に驚いた。鳥の声が聞こえて、少しうれしくなった。そんな小さな出来事を、その日の終わりに3つ書いてみる方法です。

黄色いジョウロのTINOが花・空・鳥の声を見つけ、自然のよかったことを3つノートに記録するイラスト
① 花・空・鳥など、身近な自然の「よかったこと」を3つ書くTINO

2025年・330人の比較研究では何を調べた?

カナダの心理学者Holli-Anne Passmore博士らは、「毎日のよかったことを3つ書く」一般的な方法と、「自然の中のよかったことを3つ書く」方法を、1週間比較しました。解析対象は330人で、2つのグループに分かれて実践しています。

結果は興味深いものでした。感情バランスと生活満足度は両群で同程度。一方、自然について記録したグループでは、自然とのつながりや、人や自然に深く心を動かされる感覚(elevation)などで高い結果が報告されました。

「自然版の方が何でも効果が大きい」という意味ではありません。でも、毎日の小さな自然に気づくことには、単なる気分転換とはまた違う面白さがありそうです。原著:Passmoreら(2025)

なお、2017年の別研究でも、自然のよいことを5日間記録し、2か月後まで追跡した人たちの「自然とのつながり」に改善が報告されています。ただし、心理的健康の指標では対照群との差が確認されていません。原著:Richardson & Sheffield(2017)

鳥の声そのものを調べた「音」の研究も

「鳥の声を聞いて、ほっとした」というのは、記録する題材の一例です。それとは別に、音そのものを調べた研究もあります。

Stobbeら(2022年)は295人を、鳥の声の録音と交通音などの4条件に分け、それぞれ6分間聴いてもらいました。鳥の声の条件では、不安や警戒的な考えを尋ねる尺度で低下が報告されましたが、認知課題の成績向上は確認されませんでした。実際の庭の鳥の声を毎日聞く効果や、治療効果を証明したものではありません。原著:Stobbeら(2022)

またBuxtonら(2021年)は、自然音と健康に関する36報を整理し、そのうち18報を定量的に統合しました。研究ごとに音・環境・指標が異なるため、「鳥の声なら必ずこうなる」と一律には言えませんが、自然音も研究が進んでいるテーマなんです。原著:Buxtonら(2021)

② 気になった自然を写真に撮って、気持ちも残す

散歩で見つけた葉っぱ。帰り道の夕日。いつもは通り過ぎる場所にも、思わず写真に撮りたくなる瞬間があります。

黄色いジョウロのTINOが気になった花・空・鳥などの自然をスマートフォンで撮り、気持ちを記録するイラスト
② 気になった自然を写真に撮り、そのとき感じたことも記録するTINO

2017年・大学生395人、2週間の研究

Passmore博士とHolder博士は、大学生395人を、自然に注意を向ける群・人工物に注意を向ける群・普段どおり生活する群に分け、2週間調べました。自然群では、日常の自然を見つけて、心が動いた場面を撮影し、そのときの感情を短く記録しました。

自然群では、ポジティブ感情や心を動かされる感覚、周囲とのつながりを感じる指標などが、比較群より高く報告されました。ここでのポイントは、写真の上手さではなく、自然に気づいて「どう感じたか」を記録したことです。写真を1枚撮るだけの効果を調べた研究ではありません。原著:Passmore & Holder(2017)

TINO
TINO

写真を撮ったら、それでおしまいじゃないんだね!

AromaTime川口三枝子
AromaTime
川口三枝子

そうなんです。「きれい」「懐かしい」「ほっとした」など、感じた言葉をひと言添えるのがポイント。自分だけの小さな自然日記になりますね^^

③ 秋の落ち葉から「手放すこと」を考えてみる

秋、ひらりと落ちてくる葉を見ると、少し寂しく感じることがあります。でも、落葉樹にとって葉を落とすことは、季節の変化に合わせた営みの一つでもあります。

黄色いジョウロのTINOが紅葉した落ち葉を見つめ、手放すことと次の季節を思うイラスト
③ 秋の落ち葉を見ながら「手放すこと」の意味を考えるTINO

93人・747件の記録から見えた「自然と自分の共通点」

Lumber、Passmore、Niemiecらの2023年の研究では、93人が7日間に残した747件の記録を分析しました。参加者は、自分の持つ強みを自然の中にも見いだせるか、という視点から観察していました。

その記録からは、季節の変化や自然の姿に、自分自身の変化や成長を重ねるというテーマも見つかりました。これは、人が自然からどのような意味を受け取ったかを読み解く質的研究です。落ち葉を見れば気分が改善する、という実験ではありません。原著:Lumberら(2023)

私はここから、こんなふうに考えてみたくなりました。「手放すことも、次へ進む過程なのかもしれない」。これはAromaTimeとしての感じ方の提案であって、研究参加者の発言を引用したものではありません。

Passmore博士とKrause博士(2023年)も、自然の循環やつながりが「人生の意味」を考える手がかりになり得ると論じています。ただし、これは理論的な考察であり、落葉そのものの効果を測定した実験ではありません。原著:Passmore & Krause(2023)

まとめ|自然を通して、自分の気持ちに気づいてみる

自然のよかったことを3つ書く、自然を撮影して気持ちを残す、秋の落ち葉を眺める3つの実践をTINOと一緒にまとめたイラスト
まとめ:自然のよかったことを3つ書く・写真と気持ちを記録する・秋の落ち葉から考える

自然の「よかったこと」を書く。写真に感じた気持ちを添える。落ち葉から、今の自分に重なるものを考えてみる。

3つの方法は、同じ研究で比べた「3つの効果」ではありません。前の2つは実際の介入研究を参考にした方法で、落ち葉は自然と自分を重ねた人たちの記録から着想した見方です。無理に前向きな答えを探さなくても大丈夫。まずは、心が動いたことを一つ見つけるところから。

みなさんなら、どれから試してみたいですか? 「身近な自然の意外な力」シリーズで、自然と幸福の面白い研究をこれからも紹介していきます^^

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参考文献・原著

※研究は対象・比較条件・評価項目が異なります。体験の意味づけと、統計的に検証された変化を分けて紹介しています。落ち込んだ気分が長く続く場合の医療的な支援に代わるものではありません。

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<この記事を書いた人> 川口三枝子(AromaTime主宰)


NARD JAPAN認定アロマ・トレーナー/アロマセラピストトレーナー。アロマ歴28年。著書『すぐ使えるアロマの化学』はロングセラーとなり、台湾語版も発売。AromaTimeスクールチームとして、緩和ケア病棟でのアロマケアボランティアも継続しています。


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