香水は、もともと「煙」だった?|エジプトからアラビアへ、香りの旅

古代エジプトからアラビアへ薫香と蒸留の歴史を旅する世界のアロマ

香水というと、今は「身につける香り」を思い浮かべます。

でも、香りの歴史をずっと遡っていくと、最初から瓶に入っていたわけではありません。

AromaTime Bio Lab(アロマラボ)の「世界のアロマ」第2回では、エジプトとアラビアを旅しながら、

「香りを焚く時代から、香りを取り出す時代へ」

と移っていく流れを見ていきました。

この記事でわかること

  • 香りが「身につけるもの」になる前の姿
  • 古代エジプトで香りがどんな場面にあったのか
  • エジプトからアラビアへ移ると、香りの扱い方がどう変わっていったのか

香水の原点は「煙」?

授業の最初に見たのが、「perfume」という言葉でした。

perfumeという言葉と煙を通して香るという薫香の歴史を紹介する図

今は香水を思い浮かべる言葉ですが、その背景を遡ると、

「煙を通して」

香りを楽しむ世界が見えてきます。

精油瓶を開けて香りを嗅ぐ。

肌に塗る。

ディフューザーで香らせる。

今のアロマテラピーでは当たり前の使い方ですが、そのずっと前には、植物や樹脂を焚いて香らせるという使い方がありました。

TINO

TINO

香水って、最初から瓶に入っていたわけじゃないんだね!

AromaTime川口三枝子

AromaTime川口三枝子

そうなんです^^ 香りの歴史を遡ると、まず“煙”が見えてくるんです

古代エジプトでは、香りを焚いていた

古代エジプトでは、香りは単なる「いい匂い」ではありませんでした。

神殿で焚かれ、宗教的な儀式の中にあり、当時の医療や衛生とも重なるような位置にありました。

古代エジプトの神殿で一日の中で薫香が使われていた様子

そして神殿では、一日の中でも香りが使われていたと伝えられています。

授業では、この先に「キフィ」という複合香料の話も出てきます。

いくつもの材料を使って作られていた香りです。

ただ、ここでは詳しい中身までは書かないことにします^^

大切なのは、

「香りがすでに暮らし・宗教・医療の境目に深く入り込んでいた」

ということ。

私たちが今「精油」と呼んでいるものが生まれるずっと前から、人は植物の香りを使っていました。

実は以前、生徒さんたちと横浜で、古代エジプトを旅するVR体験にも行きました。

VRゴーグルをつけると、目の前は古代エジプト。

クフ王の葬儀に参列する場面もあり、まるでその場にいるような不思議な感覚になりました。

そのとき私が思い浮かべていたのが、ミルラや薫香のことです。

本や授業の中で知っていた古代エジプトの香りが、少し立体的になった体験でした^^

香りの産地へ、場所を移してみる

ここから授業では、エジプトを離れてアラビア半島へ移ります。

エジプトから紅海を越えてアラビア半島へ移る香りの旅の地図

エジプトで香りが使われていた一方で、香りの材料そのものは、別の土地から運ばれてくるものもありました。

たとえば、フランキンセンスやミルラ。

アラビア半島やその周辺には、こうした樹脂を生み出す植物が育つ土地があります。

砂漠のような乾いた景色。

そこに生きる植物。

そして、傷ついた幹からにじみ出る樹脂。

「なぜ、この植物はこんなものを作るのだろう?」

と植物側から見てみると、フランキンセンスやミルラの印象も少し変わってきます。

香りは「焚く」だけではなくなっていく

そして、香りの旅はもう一つ大きく変わっていきます。

香りを焚く時代から、

「香りを取り出す技術」へ。

古い蒸留器の原型から香りを取り出す技術への変化を紹介する図

授業では、とても古い蒸留器の原型とされる器具から、アラビアを通して蒸留の技術や言葉が伝わっていく流れを見ていきました。

ここも面白いところです。

「ある人が突然、精油を発明した」

という単純な話ではありません。

人が植物を焚き、香りを使い、少しずつ「香りを取り出す」方法を試してきた。

その長い積み重ねの先に、今の蒸留や精油があります。

精油瓶の前には、長い香りの旅がある

エジプトからアラビアへ。

香りを焚くところから、香りを取り出すところへ。

今回「世界のアロマ」をたどってみて改めて感じたのは、

「精油瓶の中だけを見ていると、その前にある長い物語が見えにくい」

ということでした。

土地を見る。

植物を見る。

そこで暮らしていた人を見る。

そして最後に、もう一度精油に戻ってくる。

TINO

TINO

精油になる前の物語を知ると、いつもの香りも違って見えるね!

AromaTime川口三枝子

AromaTime川口三枝子

そうなんです^^ 香りそのものだけでなく、どこから来たのかを知るのも面白いんですよ

次は、乾燥したエジプトとアラビアを離れて、地中海ヨーロッパへ。

今度はまた、植物も香りの文化も大きく変わっていきます。

この記事は「世界のアロマ」シリーズの1本です。

世界のアロマ全5回を植物・土地・文化から巡る世界地図とTINO

シリーズの入口(全体像)はこちらです。
▶ 精油瓶の向こうにある世界へ|植物・土地・文化から学ぶ「世界のアロマ」

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<この記事を書いた人> 川口三枝子(AromaTime主宰)


NARD JAPAN認定アロマ・トレーナー/アロマセラピストトレーナー。アロマ歴28年。著書『すぐ使えるアロマの化学』はロングセラーとなり、台湾語版も発売。AromaTimeスクールチームとして、緩和ケア病棟でのアロマケアボランティアも継続しています。


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