出産の痛みと不安に、ローズ精油の香りは役立つ?

ダマスクローズとTINOを描いた、出産の痛みと不安にローズの香りが役立つかを考える看護×アロマ記事のアイキャッチ

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初めて出産する女性76人の研究から考える

出産の痛みと、不安。どちらか一つだけを切り離して考えるのは難しいですよね。

「女性のケアにはローズ」と聞くことがあります。でも、名前のイメージだけで選んでよいのでしょうか。今回は、初めて出産する女性を対象にダマスクローズの香りを調べた研究を手がかりに、香りを補助的なケアとして考える視点をお伝えします。家庭で分娩中の使用法を再現するための記事ではありません。

初めて出産する女性76人とダマスクローズの研究

2024年にオンラインで発表された研究では、初産婦を無作為に3つのグループへ分け、分娩第1期の早い段階における痛みと不安を調べました。分析されたのは76人です。

  • ダマスクローズ(Rosa damascena)の芳香を少なくとも30分間用いたグループ
  • 同じ芳香器具で生理食塩水を用いた擬似芳香グループ
  • 通常のケアを受けたグループ

登録時と30分後、60分後、120分後に、痛み、不安、子宮収縮を評価しています。60分後と120分後の評価では、ローズ芳香グループの痛みと不安のスコアが、ほかの2グループより低かったと報告されました。

一方、30分後にも同じ差があったとは報告されていません。「ローズを嗅げばすぐに痛みがなくなる」という結果ではありません。標準的な分娩ケアを置き換える研究でもありません。

出典:Effects of Rosa damascena on Labor Pain and Anxiety in Primiparous Women(2024年オンライン公開、2025年誌面掲載)

TINO

TINO

ローズの香りで、出産の痛みがなくなるの?

AromaTime川口三枝子

AromaTime川口三枝子

そこまでは言えません。痛みと不安が重なる時間に、補助的なケアとして調べた研究なんですよ。

痛みと不安を一緒に見たこと

私がこの研究で興味深いと思うのは、痛みの点数だけでなく、不安も同じ時間の中で見ていることです。

今回の研究は76人を分析した一つの試験です。研究の公開抄録だけでは、各群の人数、スコアの平均値やばらつき、精油の濃度・抽出法、長期の安全性まで確認できません。研究条件の違う妊婦さんや別の分娩段階にまで、結果をそのまま広げることもできません。

だからこそ、「研究で差が見られたこと」と「誰にでもすすめられること」は分けて考えたいと思います。

「女性にはローズ」で終わらせない

ローズは花びらから得られる華やかな香り。でも、ローズ・オットー、ローズ・アブソリュート、ローズウォーターは、作り方も中身も同じではありません。植物や成分の違いは、以前の記事【保存版】ローズ精油・ローズウォーターの効果効能で紹介しています。今回の出産研究とは別の記事ですので、ここでは説明を繰り返しません。

産科で香りを取り入れるなら、本人が希望しているか、香りを不快に感じないか、妊娠経過や体調に気になることはないか、施設の方針や周囲への影響はどうか。そうした確認が先にあります。研究の芳香器具や時間を、そのまま家庭や病室で真似する提案ではありません。分娩時のケアや痛みへの医療的な対応は、担当の医療者と相談することが前提です。

TINO

TINO

女性のケアなら、ローズを選んでおけばいいの?

AromaTime川口三枝子

AromaTime川口三枝子

ローズも候補の一つ。でも、まずはその方の希望や体調、使う場面を見てから考えたいですね。

精油を「この症状にはこの一本」と覚えるより、植物、香り、研究、そして相手の希望をつなげて考える。その見方を大切にしたいのです。女性ホルモンに合う精油を、論文と場面から考える理由でも、名前だけで選ばない学び方を書いています。

看護にアロマを取り入れたい方へ

精油の特徴や安全な使い方を基礎から学び、その方の状態に合わせて考えられるようになりたい看護師さんへ。

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<この記事を書いた人> 川口三枝子(AromaTime主宰)


NARD JAPAN認定アロマ・トレーナー/アロマセラピストトレーナー。アロマ歴28年。著書『すぐ使えるアロマの化学』はロングセラーとなり、台湾語版も発売。AromaTimeスクールチームとして、緩和ケア病棟でのアロマケアボランティアも継続しています。


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